第66回「サルシカ隊、楯干しにいく!」

投稿日: 2009年06月25日(木)02:25

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ついに待ちに待ったこの時がやってきたのだ。
2009年6月21日(日)、場所は三重県津市の御殿場海岸。
そう、我われサルシカ隊の潮干狩りのホームグランドである。

海の家の呼び込みかましい堤防を、クーラーボックスやら着替えを持って、ぞろぞろと歩くサルシカ隊なのである。

我われは何をしようとしているのか。
それは・・・・
それはそれは・・・・・「楯干し」である!

「はあ? タテボシぃ!? なんじゃ、そりゃあ!?」と思ったアナタ!そこのキミ!
まあひとまず、このまま読みすすめてもらいたい。
あっと驚く貴重な雑学が身についてしまうのである(笑)。

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今回の参加者は、キヨちゃん隊員ファミリー、タカシ隊員ファミリー、そして隊長ファミリー。
途中からムネちゃん隊員ファミリーも合流で、大人7名、子供6名という部隊である。

まず、ちょっとシャレた「グリル・ニッポンヤ」という海の家に腰を落ち着ける。
すでに集合時間を5分ほど過ぎていたが、いい席がしっかりと確保できてしまうのが、三重県津市のええところ(笑)。

全員に色つきのビニールのヒモが渡される。
これが「参加者」の証なのである。

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で、しばらくすると、
「そろそろはじめますので、こちらに集まってくださーい!」
との声。
すると、黄色いビニール紐をくくりつけた老若男女たちがぞろぞろと集まってくる。
「おおおおおおおお、結構いるではないか!」
と、ワタクシ(隊長です)は内心焦りはじめる。
タテボシには、人がたくさんいてはダメなのである。人は少なければ少ないほどいいのである。
それはなぜか。
もちろん取り分が少なくなるからである!

ここらへんで、そろそろ「楯干し(たてぼし)」とは何ぞや、ということを説明しよう。
すごく簡単に言ってしまうと・・・・

遠浅の海に網をぐるりと張って、その中にいる魚さんやタコさんなどの海の幸を手づかみ大コーフンでとっつかまえ、「獲ったどー!!」とやるイベントというか行事というか遊びなのである。

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「楯干し」の場所まで遠浅の海を移動。

さて、「楯干し」の起源についてであるが、津と伊賀の藩主・藤堂高虎に続く藤堂高次(1629~1669)の頃からだと言われ、第3代高久の頃には盛んに記録にも出てきているそうだ。

昔は、遠浅の海岸に竿を立て並べて網を張り、潮が引いてからはね回る魚を手づかみにする、漁法のひとつで、それが遊びに転化したらしい。

こうして「楯干し」はレクレーションとして、明治、大正期に盛んになり、津の名物となって今に残っているとの話である。
ちなみに、津市以外では、九州などごく一部でしか見られないものらしい。

神奈川県出身のM子は、「楯干し」などという大コーフンの遊びがあることを知って衝撃を受け、逆に津ぅ出身のリエちゃんは、幼い頃から親しんできた「楯干し」が津ぅだけのもので、他県の人がまったく知らないことを聞いてショックを受けていた(笑)。

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遠浅の海に張られた網。
大体テニスコートぐらいの大きさであろうか。
ここが、我われが死闘を繰り広げる遠浅の戦場なのである!!

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昔は潮が引くときに取り残された魚をつかまえたのであろうが、今はこんな浅瀬に魚はほとんどいない。
なので今は養殖魚を網の中に放流するのである。
すでにかなり形式化、形骸化されてしまった遊びなのであるが、それでも手づかみで「獲ったどー!!」は、かなり燃えるのだ。

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開始直前。
もうみんな鼻息荒く、目を見開いて大コーフン状態である。
が、まずは子供たちからチャレンジなのである。
大人はコーフン状態のままじっと我慢なのである(笑)。

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「それでは・・・・スタート!」
の声と共に、子供たちが水しぶきをあげて走る!

「こらぁ、波だっとるそこじゃあああ! はよ、いかんかい!!!!!」
「飛び込まんかぁ、ドアホォ!!! おら、つっこめぇ! 値段の高いのとらんかい!!!」

こういうときのこの地方の言葉は、たとえそれが我が子に向けられたものだとしても、非常に遠慮のないというかハゲシイものとなる(笑)。

で、我らサルシカ隊キッズどもは、いきなり凶悪な顔をしたタチウオと出会ってしまい、ギャアアアと悲鳴をあげて戻ってきてしまう始末。
「アホォ、戻れ! 戻れ! 帰ってくんなぁあああ!!!」

まあ、欲にかられた親というのは、しょせんこんなものである(笑)。

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続いて大人も突撃だぁ!!
それまで子供たちの姿を余裕の笑みで見ていた大人たちが顔色を変えて走る。
網のところには魚がたまるので、みんな網のところを責める。
大人の参加者たちはみな心得ているのである。

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写真右上のたかし隊員は、開始直後にマダイを3つゲット!!
写真左上のさゆりん隊員は、子供の手を引きつつも、さりげなく手と足でアジを数匹ゲット。
左下のM子は大物を狙って必死。
話しかけても答えない。ずっと話しかけてたら「うるさい!」と怒られた(涙)。
右下。サルシカキッズもアジをゲット!!

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そういうワタクシ(隊長)も必死である。
写真を撮りつつも、魚がくると必死で追いかける。
だからこんな映像が・・・・(笑)。

我われサルシカ隊は、野生、本物を愛する。
こういう子供だましはイカン、ダメダメなどと普段は言っている。
が、結構楽しいのである。
ずっと前から、この「楯干し」に参加できる機会を狙っていたのである(笑)。

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なんとかみんな数匹ずつゲット!

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トータルの結果は、マダイ4匹、クロダイ1匹、アジ10匹・・・というところであろうか。
ちなみに参加費はひと家族で6000~7000円程度。
どう考えても赤字だ(笑)。

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大体1時間程度で「楯干し」という名の戦いは終わった。
が、それで終わらないのが我われサルシカ隊である。
網の外では、何千人という人が潮干狩りをして楽しんでいるのである。
我われもそのまま潮干狩りに突入なのである(笑)。

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が、ここでの夏の潮干狩りは、海水浴を意味する。
水着を着ていたサルシカ・キッズどもは当然のように海で泳ぐ(笑)。

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そして12時になって、ようやく海の家に戻る。
10時からはじまったので、およそ2時間の戦いであった。

戦いが終わったら、もちろん乾杯である。
このあと、いろいろ用事があったり、会議に出たりしなくてはいけないのに、ついつい飲んでしまうのが我われなのである。

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潮干狩りでアサリを採ったけれど、砂を吐かせていないのですぐに食べられない。
で、仕方なく1皿2500円のアサリを買ってバーベキュー。

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あと、こんなのも買ってあんなものを買って、食べて食べて飲みまくる。

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結局、お昼から夕方の5時前まで、ここで宴会をしてしまった。
ここで使ったお金、なんと36000円!!
アホだ。

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その夜、たかし隊員の家で宴会。
たまたま来ていた、たかし隊員のおばさん(料理店で働いているらしい)に魚を下ろしてもらい、みんなでおいしくいただきましたぁ!!!!

みなさんも楯干し、いかがですか?

楯干し.com (今回お世話になったところです)


【おまけ】

s66-0241スンゴイのを見ました!
網の囲いの中にアサリをばら撒き、それを観光客に拾わせている!!!!
まあ、楯干しで養殖魚を捕まえてよろこんでるお前らが言うな、という感じですが、砂さえ掘らない潮干狩りってどーなんでしょう??

「貝掘り」ならぬ「貝拾い」です。

s66-023そして今回もいました!!
ドンビ(シオフキ)をアサリと間違えて、バケツいっぱいにして喜んでいる人が!!!

ワタクシがバケツを覗き込んだら、奥さんと子供とドンビを掘り続けるお父さんが、
「いやぁ、ここは本当にたくさんアサリがいますねぇ、掘っても掘ってもアサリだらけですよ!」
とあまりにうれしそうにしていたので、お父さんにだけこっそりと、
「それはアサリじゃありませんよ、食べられなくはないですが、砂を吐かせるのが大変なんです。地元の人は誰も獲らないからいっぱいいるんです」
と、教えてあげた。

このお父さんがこのあと、妻と娘にどう話し、どう対応するかはあまり考えたくないのだ。
これこそ父親としての威信が、夫としてのプライドが、そして人間性が問われるのである。